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  • 丹羽結花

京都市京町家の保全及び継承に関する条例、制定に至るまでの市民の取り組み

全国町並みゼミ・名古屋有松大会前日の11月16日、画期的な「京都市京町家の保全及び継承に関する条例」が制定された。京町家所有者は,京町家を取り壊そうとする場合,できるだけ早い段階で京都市まで届出をすること、 届出後,京都市が、支援制度の情報提供や事業者団体等と連携して活用方法の提案・活用希望者とのマッチングなど,当該京町家を保全・継承するために必要な支援を行う、というものだ。この条例について、2017年11月17日の町並みゼミ初日の「各地からの報告」で、京町家再生研究会の丹羽結花さんからの紹介があり、多くの参加者が「今年の町並み三大ニュース」と受け止めたのではないかと思う。この度、各地からの報告では十分に伝えきれなかった制定までの経過について、丹羽さんから詳しい記事が寄せられた。

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2017年11月17日、第40回全国町並みゼミ名古屋有松大会「各地からの報告」で紹介しましたとおり、京町家再生研究会では条例化に向けてさまざまな活動をおこなってきました。そのいきさつを簡単に紹介します。いずれについても京町家通信(ニュースレター)で詳しく報告しておりますので、それぞれご参照ください。

2015年12月18日 門川京都市長に「京町家の流通促進による保全・再生策に関する要望書」を提出(京町家再生研究会、京町家情報センター、京町家作事組、京町家友の会、京都府宅地建物取引業協会

京町家を次の世代に引き継ぐために、壊す前に京都市に届ける仕組みを作って欲しい、という要望です。

▶︎参考:宗田好史「京町家の流通促進へ京都市長に要望書提出」京町家通信104 号論考、728ページ

2016年6月4日 公開シンポジウム「町家をこれ以上壊さないために」開催

要望書の内容を広く市民に周知するためにシンポジウムを開催しました。

▶︎参考:宗田好史「京町家条例に向けたシンポジウム —これ以上町家を壊さないために」京町家通信107号巻頭言、751ページ

2016年8月 京都市都市計画局都市再生創造推進室に「京町家保全・活用委員会」設置

2017年5月2日 門川京都市長に「京町家保全・活用委員会」の答申を提出

京町家ネット(京町家再生研究会、京町家情報センター)の関係者も委員を務めており、議論の経過もみなさんにお知らせしてきました。「活用」ではなく「継承」という名称になったいきさつには、この条例の目的が単に壊さない、守るというだけではない、という意味合いがあります。京町家が京都の生活文化を支えているからこそ次に住む人に引き継いでいく、という精神がこめられています。

▶︎参照:宗田好史「京都市京町家の保全及び継承に関する条例 —解体届け出制度が始まる」京町家通信112号論考、802ページ

▶︎髙田光雄「何のために京町家の保全及び継承が必要なのか」京町家通信114号巻頭言、817ページ

2017年9月3日 公開シンポジウム「京町家新条例の実現に向けて —町家をこれ以上壊さないために—」開催

2017年6月2日から7月2日に京都市がパブリックコメントを募集し、説明会も複数回開催されましたが、条例の趣旨が市民に伝わっていないようでした。そこで、前出の髙田先生の趣旨説明にあるとおり「何のために」必要なのか、を市民のみなさんにわかっていただきたい、という思いで、再度シンポジウムを開催しました。

▶︎参照:特集 シンポジウム開催報告 京町家通信115号、825から828ページ

 今回の条例化において、重要だと思われる3点をまとめておきます。一つは、市民活動団体が、京都府宅地建物取引協会の支援を受けて、これまでの流通の実績を踏まえて提言したものであることです。二つ目は、シンポジウムやニュースレターによって情報発信を都度おこなってきたことです。三つ目は、条例ができたからよいのではなく、運用のための仕組み作りについても関与し続ける必要性です。ニュースレター116号(新年号)で、恒例の小島理事長の初夢を掲載しております。是非こちらもご覧ください。2月倉敷の全国町家再生交流会で、いきさつや論点など、じっくり語る予定です。さらなる議論を交わすことができれば幸いです。

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