山本玲子
- 2018年5月18日
文化財保護法改正について
昨年、文化財保護法改正のために設置された文化審議会文化財分科会企画調査会の第五回を傍聴した。そこでは、2016年3月に出された「明日の日本を支える観光ビジョン」に掲げられた「文化財を保存優先から活用へ」を背景に、調査会の中間まとめに向けて熱い議論が交わされた。観光資源として担い手を求める建造物と、公開そのものが文化財としての価値の毀損の可能性のある美術工芸品など、「活用」についての議論だ。日本の文化財保護法は、有形無形のもの、不動産から動産、そしていわゆる人間国宝といわれる「わざ」までを対象とする幅広いものである。「活用」の手法もさまざまで議論が起きるのは当然だ。さらに今回、文化財保護法の改正と同時に国会に提出された「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の改正により「地方公共団体の文化財保護の事務は条例により地方公共団体の長が担当できるようにする」ことに不安の声があがっている。 来年4月に施行される文化財保護法の改正の概要が発表された。急速な過疎化高齢化により地域社会総がかりで、文化財をまちづくりに活かしつつその継承に取り組むことが必要である

