落合康信
- 2021年7月28日
川越・喜多町弁天長屋がグランドオープン、広く資金支援を募りセルフビルドで再生・活用
全国町並み保存連盟の皆様、日頃より大変お世話になっております。 NPO法人川越蔵の会です。 この度当会の事業として、町に残る古き良き「長屋」を修繕し、それを活用・継承させるための活動を行いました。連盟の皆様にもこの事業に対しては格別のご理解とご協力を賜りました。誠にありがとうございました。 この長屋は現在の町名および地名に倣い、「喜多町弁天長屋」と称します。今回はそのご報告をさせていただきます。 建物は明治26年の川越大火後に建てられたもので、明治35年の書籍に載っている埼玉縣重要物産陳列所であった可能性が高いと推定されています。その後、昭和の時代には大きく増築され、いくつかの飲食店を経ましたが、現在は空き家となっていました。四軒長屋ながら増築の関係で、当会が事業として計画していた二軒分でも面積が180㎡以上と規模が大きく、なかなか借り手もつかない状況でした。 当会ではかねてより、独特な情緒あふれるこの横丁を活性化したいとの思いを持っておりました。2014年にはこの喜多町弁天長屋の南東に位置する「麻利弁天長屋」と呼ばれる七軒長屋の一角をお借りし、


上野邦一
- 2021年7月23日
林 文二さん追悼
去る3月2日にご逝去された、全国町並み保存連盟第二代会長・林文二さんへの追悼文を、奈良女子大学名誉教授・上野邦一先生からいただいた。ここに掲載して、故人の功績をしのび、ご冥福をお祈りしたいと思います。 ❖❖❖ 妻籠の林文二さんが3月2日に御逝去された。お元気であると、お聞きしていたのに、突然の訃報だったので驚いた。 この追悼文は連盟機関紙に掲載なので、多くの方々は林文二さんというと連盟会長のイメージが強いだろうと思います。会長を辞した後は連盟顧問を務めていましたから。けれども、私にとっては、連盟の林さんより妻籠の林さんの印象が強いのです。 妻籠宿の町並み保存のきっかけの一つが林家の建物保存です。経緯は『妻籠宿 その保存と再生』(太田博太郎・小寺武久著、彰国社、1984)に詳しい。当時、古民家を買い移築して料理屋などに利用することが、全国で横行していました。林家にも、そうした買手が訪れていた、と聞いています。林家は、妻籠宿脇本陣の家柄で、建物は明治十年(1878)の建設です。妻籠宿には本陣であった島崎家の建物はありませんから、妻籠宿にとってシンボル

