福川裕一
- 2019年7月31日
日本の町並み保存50年:総括と展望 倉敷市の伝統美観条例50周年記念シンポジウムから
2018年は、日本で町並み保存が始まった50周年であった。50年前の4月、日本最初の歴史的町並みを対象とした金沢市伝統環境保存条例が制定された。9月、倉敷市伝統美観条例が制定された。そして11月、妻籠で明治百年記念の保存工事の起工式が執り行われた。 昨年から今年にかけ、それぞれの市町村で50周年を記念したイベントが開催された。妻籠では、2018年2月3日、妻籠宿保存50周年を記念する式典が行われた。同年9月1日には、金沢で景観条例制定50周年記念景観シンポジウムが開催された。そして年が明けた2019年、倉敷で、1月26日と3月30日の二回にわたって伝統美観条例制定50周年を記念するシンポジウムがもたれた。私は、光栄にもこのふたつのシンポジウムで話をする機会をいただいた。私にとっては、町並み保存の現在やあり方について、改めて考えを整理する絶好のチャンスとなった。 1回目は倉敷市と教育委員会が主催する言わば公式の記念行事。問合わせ窓口は文化財保護課で、市外からのゲストとして高山市文化財課の牛丸岳彦さんがパネルディスカッションに加わった(フライヤー)。


福川裕一
- 2019年7月3日
川越旧鶴川座の経過
フェイスブックで既報の通り、6月30日(日)川越旧鶴川座の「最後の」見学会が行われた。主催は川越蔵の会と木造劇場研究会。早ければ、週明けにも除却工事が始まるというスケジュールの中で、急遽設定された見学会であった。 参加は気が重かった。副会長をつとめている歴史的風致維持向上協議会で、たびたび旧鶴川座保存は困難という報告を受けながら、無為に過ごしてきた「古傷」があったからである。協議会は、歴史的風致維持向上計画に関する事項について調査審議する機関である。「旧鶴川座保存活用事業」は、この『川越市歴史的風致維持向上計画』(2011年6月認定)に掲げられ、次のような事業概要が記されている: 「歴史的風致形成建造物に指定予定の旧鶴川座(民間所有)については、映画館として営業していた時期の形状のまま、老朽化が進んでいるが、建築当初の芝居小屋としての形態に復元し、催事施設としての利用を前提とした保存修理(調査・実施設計・工事・報告書)を実施する」 (http://www.city.kawagoe.saitama.jp/shisei/seisakushisaku/

