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  • 川上光彦

自主条例を重ね、緻密な歴史環境保全システムをつくりあげてきた金沢、金澤町家保全活用条例のもと、歴史的建物の改修・活用が着々とすすむ:第5回HUL連続講座の記録

更新日:2022年5月13日

 金沢の歴史的環境保全について、金澤町家研究会を主宰する川上光彦・金沢大学名誉教授から講義をしていただいた。歴史環境保全施策を切り拓き、今や歴史的建築物の改修・活用に邁進する金沢。もっと学ぶ必要があると認識を新たにした。


 金沢市も、京都と同じように、重要伝統的建造物群保存地区がカバーするのは城下町だった区域の一部である。しかし、城下町の区域全体(=HUL)を対象に、緻密な歴史環境保全システムを組み立ててきた。歴史まちづくり法や景観法など、国の制度を活用することはもちろんだが、基本的な手段は先取り的に積み重ねられてきた自主条例である。1968年、日本で最初の町並み保存条例である伝統環境保存条例を定めたのを皮切りに、景観分野と居住・都市環境分野をあわせて20余の自主条例が定められている。たとえば、こまちなみ保存条例は、重伝建地区外にこまちなみ保存区域を定め、重伝建地区と同様の効果を発揮させようという制度。ほかの自治体でもぜひ研究して欲しいと思う制度だ。ほかにも、金沢職人大学校や町家情報バンクなど、官民の刮目すべき活動が幅広く取り組まれている。

 2013年には、歴史的建築物の保全と活用を支える基本法として、金澤町家保全活用条例が制定された。この条例を背景に、着々と歴史的建築物の改修・活用が進む。保存区域を区切る方法から、城下町全域に点在する歴史的建築物の改修・活用へ。金沢では町並み保存のステージが一歩進んだという印象を強くした。講義の最後に紹介された金澤町家研究会編の『金澤町家ー改修と活用-』には、80もの事例が紹介されている。この記録に目を通されたら、ぜひこの本を手に入れ、一読することを強くお勧めする。



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