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  • 上野邦一

「歴史的町並み・集落保存憲章」ができるまで:およそ二年間、数えきれない議論の積み重ねの上に成文化にこぎつけた

更新日:2020年11月15日


妻籠宿保存50周年記念・第42回妻籠冬季大学講座(2018)で講義する筆者

 本年6月に開催された総会で「歴史的町並み・集落保存憲章」(以下「町並み憲章」)の改定が承認された。これまでの17項目は変えずに「18. 21世紀を迎えて」を加えた。全国町並み保存連盟が2000年に定め、国際的にも認知されてきた「町並み憲章」をアップデートするにあたって、川越の荒牧澄多氏をリーダーにワーキンググループを組み検討した。その結果「本憲章の完成度がきわめて高く、20年後の現在から見てもまったく色あせていない。その旨の項を追加してアップデートする」という結論に至り、このような改定を行った。

 この度、この素晴らしい「歴史的町並み・集落保存憲章」の起草にあたった上野邦一奈良女子大名誉教授に「「歴史的町並み・集落保存憲章」ができるまで」をまとめていただいた。1998年の全国町並みゼミ東京大会に始まり、2000年の日南大会で披露されるまでの2年間、成文化まで粘り強く作業が続けられた経過が克明に記されている。特に、原案を起草し、病をおして参加されていた稲垣栄三先生の姿に涙する。

 6月の総会では、憲章作成を中心的に推進された益田兼房さんから解説版をつくることが提案された。その解説版作成作業を、今月22日に開催される全国町並みゼミ桜川市真壁大会をきっかけに本格化させる。コロナ渦における「町並みを彫琢する」作業のひとつとして、町並み連盟の構成団体・会員の力を結集して取り組み、起草者の皆さんの労に報いたい。完成の目標は、来年11月の奈良大会である(福川裕一)。


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まえがき

 この報告は、「歴史的町並み・集落保存憲章」ができあがるまでの経緯をまとめたものです。経緯の記述の中で取り上げた方々には物故者の方もおられますが、文中では断らずに記述しました。御理解を賜りたい。

 この報告を一読すれば分かりますが、「歴史的町並み・集落保存憲章」ができる過程での意見交換を追った内容ではなく、経緯を紹介することが主目的であることが理解していただけると思います。「歴史的町並み・集落保存憲章」ができる過程での、内容に関わる意見交換を知りたい方々には不満が残るだろうと懸念しますが、記録をみると意見のやりとりは膨大な量になり、それを整理して読者に理解できるように記述することは事実上無理と考えました。多様な意見をすり合わせ、合意を得ていく道筋は、憲章ができあがっていく過程として重要で多くの方が知りたいところであろうと思いますが、記述するのが困難だろうと言う事情も分かって頂けると思います。

 憲章ができるまでの、内容に関わる経過が分からないのであれば、経緯の様子報告は要らないかと言うと、そうではないだろうと思います。少なくともこういう手続きで進行したことを記録しておくことは、関わった者の責務だろうと思い書き綴ることにしました。














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