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  • 福川裕一

各誌に相次いで町並みの記事


各誌で町並みの記事が相次いでいる。

 最新のものは建築資料研究社が発行する『CONFORT』10月号(No.170、隔月刊コンフォルト)。「古い建物を活かす術」という特集を組んでおり、 MUJI BASE鴨川(千葉県)、井波の町並みで展開するBed & Craft、NIPPONIA 美濃の商家町、杉並区今川の築44年の住宅を改修したシェアハウス、千代田区神田の看板建築・海老原商店などの事例が紹介されている。また「保存から活用へ:歴史的建造物や文化財を巡る新しい動き」として、ディスカバーまかべの吾妻周一さんが「東日本大震災で被災した茨城県真壁地区:歴史的建造物の9割を復旧できた理由」を、連盟事務局長・山本玲子が「「その他条例」制定、始まる」を寄稿している。

 「新着図書・資料」ですでに紹介したが、大正大学地域構想研究所が発行する『地域人』第47号(2019年8月発行)は「生きている町並み」という特集を組み、森まゆみさんの取材・文で、増田、気仙沼、村田、新潟の古町花街、根岸・谷中、八女を取り上げている。それぞれの地区で町並みを守り・活かす活動に取り組む人々の、元気なお顔と経験に根ざしたお話が印象的だ。この特集を組むにあたっては、全国町並み保存連盟も協力した。

 少し古くなるが、『自遊人』5月号が「まちを楽しむホテル」を特集してる。自遊人は、出版社だが、越後湯沢の里山十帖、箱根本箱などの宿泊施設を成功させ、滋賀県大津市のまちなかでは、町並みを活かした「商店街HOTEL講 大津百町」を運営している。現在、5棟の一棟貸し、2棟の部屋割りタイプがあり、イタリアの事情に詳しい作家の島村菜津さんが、アルベルゴ・デフーゾに触れつつ、大津の町並みとともに紹介してくれる。日経日曜版についてくるThe STYLEでも紹介されていた(8月18日)ので、ご記憶の方も少なくないだろう。そのほか、尾道のホテルLOG、井波のBED AND CRAFT、NIPPONIA HOTEL奈良ならまち、香川県三豊市のUDON HOUSE、東京池袋の「シーナと一平」、香川県豊島の「ウミトタ」、さらに高松市仏生山のまちづくりが紹介されている。イタリアのアルベルゴ・デフーゾについても、30ページ近くを割いて紹介している。

 私たちは、歴史的町並みというと重伝建地区を思い浮かべる。しかし、その範疇に収まりきらない多くの町村が、さまざまな立場の人々の手で磨かれ蘇りつつある。いや、必要なのは、重伝建地区という既成観念の再定義なのかもしれない。時代はどんどん先へ進んでいる。

 いずれの特集も手元に置いておく価値がある。ぜひご購入を。

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